外部委託だから実現できる!
ポジティブでオープンなお客様相談室

皆さんは日常生活の中で『お客様相談室』へ連絡をしたことはあるでしょうか。商品に関する問い合わせや初期不良に対する報告など、生活の中で一度は使用したことがあるかもしれません。また、幅広い問い合わせを受け付ける『カスタマーサポートセンター』などはもっと利用頻度が高いのではないでしょうか。
しかしながら『電話での問い合わせ』の優先順位は年々下がる傾向にあります。それは近年では浸透しきったようにも思える『WEB検索』の普及にあります。WEB検索の文化は私たちの自主性を高め、情報を選び取る力を高めましたが、同時に「誰かに質問する」ことへのハードルを大きく上げてしまいました。非対面の気軽さは近年の文化に馴染みますが、これまでの人ならではの深いヒアリングは息をひそめてしまいました。他愛もない質問の根幹に眠る「ネガティブ」を解消し、「ポジティブ」に変えていくことは、同じ人間でなければ出来ないことです。問いかけがあり、回答があり、その回答に含まれる言葉にはならない気持ちを【汲みとる】ことが、お客様相談室の根幹にあるのです。
しかし、お客様相談室と聞くと、なかなか良いイメージは浮かんできません。購入した商品の不良やサービスへの不満などネガティブなイメージが先行します。そんなイメージから脱却するべく、多くの企業で、お客様相談室もその他のWEBコンテンツと変わらず、お客様とのいち接点であるとしたポジティブな活動が増えています。
応対クオリティと属人化

何か商品やサービスを発売した際、それに触れたお客様の声はとても貴重な意見となります。企業の中で試行錯誤を繰り返し世に出たものは、いままでその企業の中でしか評価を受けてきていません。謂わば、生まれたばかりの葉っぱの芽のようなものです。生活の中で、長期利用の中で、多様な環境でその商品やサービスがどのように変化をするか、どんなに実験や検証を重ねても、すべてを把握するのは難しいことです。それ故にお問い合わせ内容も様々で、運用フローを構築するのも難しく、企業にとって必要なお客様のお声やその傾向など膨大な知識が属人化してしまうという事例も多くお見受けしています。
■クオリティ=属人化とさせないために
お客様は不安に思いながらお問い合わせをしてくださいます。それは、電話でも、メールでも、もっと言えばチャットでも同じです。商品・サービスに対する不安の上に、「問い合わせをしている」という不安も重なり、いつもより感覚が研ぎ澄まされ、気持ちもナイーブになっています。そんなお客様に最初に掛けるお声のトーン、ヒアリングの順番、そこにはある一定のクオリティと基準が求められます。勿論、応対される方に熟練された技があれば、それに越したことはありませんが、入電数が大きくなり、ユーザーのパイも膨らめば、すべての電話を熟練された担当者の方がとれる状況では無くなってしまいます。お客様によっては知識不足の担当者に対応の不満を感じられるかもしれません。
「この人に任せておけば大丈夫!」「この人がマニュアルのようなもの」
皆さんの会社は上記のような状態にはなっていませんでしょうか。属人化によって生まれるハイクオリティは、伝統工芸を伝える『職人』らと同じで、熟練された技を受け継ぐ後見にアウトプットし、共有しなければ、遠くない未来に途絶えてしまうことになります。クオリティを一定に保つためには、その技を共有し、ハイクオリティでなくとも、全員が同じ応対を身につけられるフローが必要になるでしょう。
■紙マニュアルをデータ化する努力
様々な企業様からお伺いする共有時の課題として、紙マニュアル・帳票類のデータ化があります。時代とともに、紙で共有を行っていたものが日を追うごとにデータになり、お客様からのお問い合わせ内容を紙帳票から探したり、データベースから探したりと、レファレンスを一定の場所に定めて行えない状況があります。いざ業務の研修を行おうとしても、まずは情報の在り処を覚えるところから始めなければなりません。それは、業務のアウトソーシングをするときも同じで、徐々にでも業務に関わる紙マニュアルのデータ化をすすめなければ、本来委託したかった時期や業務開始日をマニュアルのデータ化にかかる工数で大いに遅延させる可能性があります。
真摯な対応をオープンな場で

最近は各社『良くあるご質問』をベースにお客様相談室のWEBページを立ち上げ、誰でも閲覧可能であるWEBというオープンな場でのお問い合わせ対応を行っています。お客様相談室にご連絡いただくお客様の中には、なかなか相談室からのリターンのお電話を受けることが出来ない方もいらっしゃいます。そんな方に向けて、調査結果がどうであったか、どういった改善策を社内で行えるかなどWEB上で公開している企業もあり、お客様から頂いた声を隠さず、今後のサービス・商品のサービス向上に精力的に活用していくことがWEB上のお客様相談室の主流にもなりつつあります。
■企業のコンテンツ更新と信頼
WEB上のお客様相談室の運用で絶対に守らなければならないのが『更新』です。お客様相談室はもともとデリケートなジャンルです。どんなにネガティブなイメージが無くなったとしても、オープンな環境に置いたとしても、それ自体は変わりません。ですので、企業の『信頼』や『安全』に関わるコンテンツと位置付けて、コツコツ更新を行いましょう。この更新が途絶えるということは、企業の『信頼』を失うことだという覚悟で更新を行うことが必要です。企業によってはSNSのアカウントを作ったまま放置したり、コーポレートサイトの更新を10年近く行っていなかったりというところもありますが、一度立ち上がった『お客様相談室』とそれに付帯するユーザー接点は簡単にはなくせません。
更新するコンテンツの量が少ないのであれば、お客様相談室の稼働時間の隙間にでも行うことも可能でしょう。
そんなに大切なお客様相談室を外注!?…したほうが良い理由とは。

上記で述べたように企業の『信頼』や『安全』に大きく関わり、それ故スキルも属人化しやすい『お客様相談室』をわざわざ社外へ委託すべき理由とはなんでしょう。
その一番の理由としては、『企業の核となるお客様の声を残さず拾う必要がある』からです。お客様の声(問い合わせ)には「なぜサービス・商品が売れているのか」「なぜ売れていないのか」「どの世代に刺さっているのか」「どのような要望が出て来たのか」など、企業が今後何処を重点的に事業展開していけばよいのかのヒントが隠されています。そのヒントを零さず拾う為に『委託』という選択肢があります。中には、いいことも悪いこともすべての声が集まるお客様相談室を外注するなんて考えられない!という企業もあります。勿論、そうした意見も間違いではありません。むしろ、お客様の声を企業の核として捉えているからこそ、出てくる慎重な意見であると思います。委託という選択肢はあくまでも、お客様の声の受け皿を大きく広げるということに過ぎません。企業が掲げるユーザーへの方針を基に、今まで社内でまとめ上げることが出来なかった運用フローを構築すること、お客様相談室のエキスパートの退社、事業の拡大、入電数の増加など、いつか来る「もしも」に備える為の手段としての『委託』は企業にとってもこれから先の事業を見通す大きな一歩となります。
【まとめ】
現代において『お客様相談室』は決してネガティブなイメージだけではなくなり、お客様と企業との信頼を結ぶための窓口の役割をしています。その『お客様相談室』を外部委託することは「外部企業にすべて任せてしまう」ことではなく、いつか来る「お客様との接点拡大」の基礎をつくることにもなります。いつかはすべきことを「今しなければ!」と踏み切るのはなかなか骨の折れることですが、未来のユーザーにより良いサービスを提供できるように、しっかり地盤を固めましょう。