“ペルソナ設定”で分かる!
BtoBマーケティングの歩き方

ペルソナって、いったい何?

マーケティング業界ではすっかりお馴染みになった“ペルソナ”という言葉ですがこの言葉は、あるモノやサービスを拡販しようとしたときに架空のユーザーを想定して、マーケティング戦略立案の材料にするということです。性別は何で、何歳で、どこに住んでいて~など、ある程度のセグメントの上に成り立ちます。
この『ペルソナ設定』は即ち、『誰に売るか?』というターゲット設定と同義である為、マーケティングを進める上でとても重要な項目となります。
しかしながら、この『ペルソナ設定』…
BtoB商材の場合には、運用担当者と決裁者が別々の場合や、決裁者が複数居り、合議制の場合など、より詳細に、より複雑になってきます。
ペルソナの奥に眠るもう一つのペルソナとは?

分かり易く、上記のような『ペルソナ設定の複雑化』をBtoCでイメージをしてみましょう。
≪最新モデルの車を売りたい車屋さんと、車を購入したい家族≫
・家族
旦那さん ⇒ スポーツカーで格好良く最新のモデルが欲しい。
奥さん ⇒ 燃費がよく、ファミリーで使えて維持費がかからない車が欲しい。
・車屋広告担当者
実際に展示場に足を運んでくれたのは男性が多かったし、
WEBサイトの反響も格好良くクールなデザインがよりパフォーマンスが良かった。
よってペルソナを男性で新しい物が好きな35歳くらいの人と設定しました。
WEBページもクールなデザインでキャッチコピーも『新しい、格好良い』に寄せたものとしました。
果たして、このキャンペーンは上手くいくでしょうか?
旦那さんには受けるかもしれません。しかし、奥さんからの反対は容易に予想がつきます。旦那さんが「この車が欲しいのだけど」と相談した途端に、「家族で乗れるの?」「燃費は?」「維持費は?」などの質問が飛び交い、なにより生活に則しておらず、デザインだけを重視した旦那さんの選択に不信感を持つことでしょう。そのような印象はなかなか拭い去ることが出来ず、後から実は燃費も良いし、家族全員が快適に乗れると説明したところで、もっと良い選択肢があるはずだと比較検討出来る他の車を探すことになりそうです。
車屋さんの広告担当者に足りなかったのはペルソナの更なる深堀です。ここでの旦那さんはBtoBでいうと『運用者』です。運用者に合わせたペルソナ設定は成功しましたが、その背後にある奥さんという『決裁者』に対するアンサーを想定できていなかった為に、今回は折角の機会を逃してしまいました。
VALWAY121ネットの『ヘルプデスクサービス』ペルソナ設定事例をご紹介!

BtoBマーケティングにおいてペルソナ深堀は非常に重要です。以前弊社でもヘルプデスクサービスというサービスのランディングページ(以下LP)をローンチしました。ヘルプデスクサービスはサービス範囲も幅広く、お客様によってお悩みの内容も大きく変わる為、LP上には運用担当者が思わず頷くような社内システムあるあるを中心に掲載し、WEB広告もそれに寄せて多くのアクセスを集めました。WEBページの反応も上々で平均滞在時間もページ遷移も想定どおりの動きを示しました。
しかし、そこからの問合せは『問い合わせ』ではなく、「結局のところ、何をしてくれるの?」というかなり端的な『質問』や別のサービスについての問合せが多くありました。つまり、ヘルプデスクのLPは運用担当者にとっては“あるある”と頷いてくれる内容でも、決裁者にとっては実際何がどう良くなるのか想像し辛い内容だったからだと予想しました。
そこで! ページの主旨を大きく変え、より決裁者の言葉に寄せてページを再構築しました。実際に決裁者が稟議で決済する場面を想定し、その会議の出席者も想定し、あらかじめ質問に答えられるように改修しました。運用担当者にとっての“あるある”な内容も決裁者が納得のできる内容に変え、なぜこのサービスを導入することによりコスト面、運用面で良くなるのかという部分に最も注力しました。
その結果アクセス数こそ横ばいでしたが、問合せの内容が私たちの提供できるサービス内容にマッチしたものとなり、案件化が出来そうな商談が続々と始まっています。こうした『適切なペルソナ設定』は私たちにより質の高いタッチポイントを与えてくれます。
まずは自分の中に『ペルソナ』を作ってみる!
何か新しいことをしようと考えたとき、例えば新規商品・サービスの立ち上げにも、ペルソナ設定は必ず必要です。自分だけが、会社だけが、それを『良い』と信じて疑わない。そんな負のポジティブシチュエーションを避ける為にも、あの人だったら、この人だったら、このサービスや商品についてどう思うだろうか? という想像力が大切になります。しかし、何かを作り出すとき、人は自らの経験に則して物事を形成します。それは、いままで語ってきた『ペルソナ設定』を活用した『俯瞰』とは全く対極の位置にあります。そのような偏りの中で生み出されたものに対して、まずは自ら問答をしてみましょう。
自分を①~③パターンでペルソナ設定し、バランス検証
例『家事代行サービス』を発案
・発案者 30代 女性 既婚 …フルタイムで共働き。子供は5歳、7歳。
・ペルソナ① 30代 男性 独身 …興味無。代行するシチュエーションが考えられない
・ペルソナ② 20代 女性 独身 …興味有。だが、家事は手が足りる
・ペルソナ③ 30代 女性 既婚 …興味有。共働き、子供がいる場合は有難い。
上記の場合、ペルソナ③がターゲットとなりますが、発案者と境遇が似通っています。勿論ターゲットを決め打ちで何かを作るのも間違いではないのですが、ターゲット外のペルソナ①と②とターゲットであるペルソナ③の割合も把握しておかなければ、意図せず『ニッチ』な層を突いていた!ということになりかねません。
上記の例で行くと今回はターゲットではないペルソナ②が将来的にはペルソナ③へ移行する可能性がありますので、長期的な目で見ると発想のバランスはそれほど悪くありません。しかし、もしも3つのペルソナ中、2つが全くの興味無や無関心であった場合、その発想は少し偏っているものと考えて、もう少しマジョリティに寄せて変える必要がありそうです。
【まとめ】
現代において『お客様相談室』は決してネガティブなイメージだけではなくなり、お客様と企業との信頼を結ぶための窓口の役割をしています。その『お客様相談室』を外部委託することは「外部企業にすべて任せてしまう」ことではなく、いつか来る「お客様との接点拡大」の基礎をつくることにもなります。いつかはすべきことを「今しなければ!」と踏み切るのはなかなか骨の折れることですが、未来のユーザーにより良いサービスを提供できるように、しっかり地盤を固めましょう。